【3】 精神科に行きました、小学生時代のお年玉で。

シリーズものですよン。

第参話 これ。



よう。シャカフテ。



【シャカフテ】 …シヤカフテ

社会不適合者の略。不特定多数が築くコミュニティにおいて、一緒にそれを形成する適正を持たない人。
当人の解釈に関わらず、他者からの連続的な認識に晒されることで決定される。



ニートとなって二年が経過しようとしています。
職業安定の施しを受けるため、明日の自分を保つため、カウンセリングに向かい、病気を患い、障害の疑いをもち、今日まで生きてきました。


前半では普通の日記、
後半では改めて僕の病気、障害への対処について書きます。

タイトルには嘘が混じっています。今は控除され返ってきた金と親の金です。


─前半


フォロワーと不毛なレスバトルを繰り広げたり、なけなしの自我を放ったつもりがちっとも面白くもなく他人を煽ってしまうツイートばかり。落ち続ける自らの身を弄び、見える限りの世界を蝕んだつもりでいた2017年。人生で最悪なメンタリティの一年間。

そして2018年、初頭から勝手に折れてはカタツムリのような速さで頑張った自分を必死に取り繕った年であったと言いたい所存です。
去年よりマシだと思える毎年を味わいたい。このままくたばりたくねぇ・・・そんな感じでした。「マシになる」ために割といろんなことに手を伸ばし、動きましたね。
バーチャルサンドバッグにはバッドニュースがお似合いなのに。



春から精神科に通い始めて半年以上が経過しました。
病院の先生との会話は半年間あたりさわりがない、よくわからないカウンセリングとも呼べないもので、ろくに診察も治療も受けている感じがしません。臨床心理士ではないそうなので当たり前かもしれませんが。



三ヶ月の精神通院の末には自立支援医療の対象となって医療費の一部控除が受けられました(シリーズ過去記事参照)。
当初は初診料やらでガッツリお金を取られましたが、それ以来はヒトカラの3分の1ほどの料金で済んでいます。
また夏ごろに精神医療なるものについて母を説得し和解したので、金銭的な援助を受けながら通っています(生活においては常に受けている)。
収入もできました。今度お話しますわ。


さて、半年の精神通院の末、このあいだ申請してきたものがあります。


障がい者手帳です。


待ちに待った、といって差し支えないものです。


はっきりいって、僕は障がい者と呼ばれる人種を幾度となく馬鹿にしてきました。
物心ついた頃からクラスの変な子を指差しては同年代同士で「あの子障がい者なんだって」とヒソヒソ話をしたりだとか、そうでなくとも相手を罵倒する意味で「ガイジ」だとかいうワードはたびたび放っているのが当たり前でしたし、特にそういった言葉遣いをやめさせようとする人の言うことも聞かず(小さい頃から2ch等のよくない影響も受けているのもあります)、僕もそんな環境で当たり前のように自分より下に他人を見ては馬鹿にしていたのです。
TwitterでもWANIMAのような人達に嗤われて生きてきました。等と持ちネタの如く言ってはいますが、僕もたまたまクラスで最底辺の子が自分以外に居るとわかった年はパシりに使ったりいじめっこをやっていたんですよ。僕は一貫して被害者などでは到底なく、どこかよそで同じかそれ以上に人を傷つけているのです。無自覚のものも含み。



そんな僕が今、本物の社会的弱者の証明書を手に入れようとしているわけで。
やろうと思えばもっと被害者ぶれる危険な立場になるのです。
半分は非常に清清しい気分ですね。
一人でも多く誰かに赦してもらえるのかと期待で胸が躍ります。



もう半分は、なんともいえない気持ち悪さと言いましょうか。
恐ろしいものを手に入れようとしている。障がい者を名乗ることにある責任はどうしよう。
こんなもののために半年休んだのか、これが休職に相当する待遇まで受けてやったことなのか。
こんなに犠牲と迷惑を払って、“証拠”を用意しなければ自己も肯定できないのか。俺は。



若人はみな「ここじゃないどこか」へ行きたい願望があるかと思います。
僕の場合新しい情報が無限に流れてくる都会で、かつ障害だとかLGBTだとか「特別じゃないかもしれないけど特殊」な人が混じっていても余計な憶測や解釈が飛び交って精神をすり減らすことのない暮らしがしたいなと思うんです。生き方や環境づくりの面で、平たく言っても将来の夢ですね。
それを後押しする道具が障がい者手帳なのでしょうか。



確かに手帳を手に入れれば、学生生活で嫌というほど味わったグループでの共同作業にあたっての意思疎通、役割分担、ホウレンソウ、ミスのない事務作業を達成できる可能性が限りなく低いこと、一人でも単純作業が不可能に近いこと、夢中にならねば何もかも取り掛かれないこと。
それは努力不足や心の持ちようなどではなくただ僕という人間の機能が「そう」であることを説明するのに時間もカロリーもコストもかかりすぎる問題を「僕は障害者です」の一言で乱暴に無慈悲にクリアすることが可能で、そういった人種でも生きやすい、働きやすい職場を手に入れる近道になるなら・・・
悩めば悩むほど、僕にふさわしい道具であり、また同時に与えてはいけない気がする肩書きでもあります。それが僕にとっての『障害者』という立場、カテゴリ。

ただ、今できることをやっているはずなんです。それだけなのに、どうしてこんなにもどかしいんだ?


─後半


精神科ではカウンセラー、つまり臨床心理士の居る場所で対面した形で悩みなどについて話したりするようなことは特にありません。
精神科医の先生から投薬による治療を受け、それにより鬱による不安感由来の睡眠障害発達障害などの症状、行動の傾向をできるだけ緩和するのです。そこで処方箋を出してもらいます。
今回はその薬について書きましょう。僕の備忘録としても、「こんなのがあるんだー」と思ってもらうことも兼ねて。

それと大事なこととして、障害を持つ人が薬に頼るのは甘えでもなんでもないから。そこまでして外から作用を加えない限り体や頭の欠陥や不具合がどうにもならないんだよね。
だから病気とは区別されてるし、そうだとしても気合で治る奇跡なんか待つわけないでしょ。
そういうの理解らない奴は努力とかじゃ理解んねえし理解らなくてもいいけどさ、お互い疲れるだけだから、障害ある奴の近くで当たり前みたいに生きねえように工夫してくれよな~、俺もやってくからさ~頼むよ~。


※処方箋に書いてある内容と自覚症状(効果には個人差があります)を除き、基本的にネットで手に入る情報の受け売りです。
興味ある人は調べてみてください。人間への脳ミソへのアプローチの仕方めっちゃおもしろいんですよ。簡単にいうと、プラスの電気信号が活性化して流れているところにマイナス系の電気流すための指令を出すとすぐ落ち着いちゃうみたいです。仕組みはアレでもやってることは単純なんですね。ニンゲンこわ。





向精神薬のうち、睡眠導入剤と呼ばれるものです。(睡眠薬のうち比較的軽めのものをそう呼ぶらしい)
チョコレートで有名なGABA(ギャバな。読み間違えたら再走)とかいう物質にたくさん働くよう刺激することでリラックスを促すらしいです。

ベンゾジアゼピン系(詳しくは知らんけど分類。ググる時に使え)で脳の機能を低下させることで眠気を促す効果があり、一錠飲むと30分ほどで自然に体の力が抜けてきます。この眠さ、ほどよく体を動かした日のように非常に安らか。お手軽にそれが味わえるため癖になりそう。
夏頃は三日に一度くらいのペースで服用しては飲まない日に「くぅぅぅぅ~~飲みてェ~~~ニョホホホホホホ~~~~ンン泣泣(よなよなおめめぱちぱちASMRヘビロテ)」って感じでした。毎日お世話になると依存しちゃうかもしれないので我慢していたのですが地獄。

今は二週間に一度飲むかどうかです。僕は午前まで倦怠感が残ることがあるんで、さっさと寝るために飲んで用事に備えることがあってもそういうのは午後からにしています。
つまり午前中は動けねえってことじゃねーか!サボってるとしか思われないヨ~~~~~ン泣

依存性や少し調子の悪くなる副作用が報告されているそうですが、薬って風邪薬や酔い止めなんかにも結構そういうのあるんであんまり気にしてません。
似た結果を引き起こすものの成分や作用の違う薬というのがいくつもあるみたいなので、一発目で相性が良かった僕はラッキー。ダメだったらいろんなの試しては夜な夜なゲーゲーしていた可能性がありますね。
初日に出して貰えたので、多分よく寝付けないと相談すれば誰でも似た薬を出してもらえるのかも。
薬局などでは売っていません。病院で処方箋を出してもらう必要があります。





2.ルネスタエスゾピクロン)
睡眠導入剤その2。 非ベンゾジアゼピン系で、ブロチゾラムでお昼の12時くらいまでぶっとおしで眠ってしまう日があったため出してもらった少し成分の違うらしいもの。即効性が高く眠気が残りにくいそう。
問題は副作用。めっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっちゃ苦い。
苦味を感じるかに個人差があり、全く感じない人も居るのだそうですが、オラには地球の皆からちょっとずつ苦味を分けてもらったみてェだったぞ~!
完璧な相性ではなかったのが悔やまれる良薬でした。

前向性健忘、つまり服用してから寝るまでの記憶が飛んでしまう副作用が報告されています。僕は特になんにもありませんでしたが苦すぎて寝付けないという深刻な問題があったので一週間試して止めました。。
こちらも病院で処方箋を出してもらう必要がある薬です。





中枢神経刺激薬のひとつ。大げさな呼び方だけど、それは皆が摂ってるカフェインも同じ。
発達障害たるADHDの症状を緩和させる薬です。代表的な症状「落ち着きがない」「物事の優先順位がつけられない」「ちょっと前に覚えたことを重要さに関係なく忘れる」などを防ぐべく、落ち着く神経物質ノルアドレナリンドーパミンの働きを活性化させる作用があります。

特にドーパミンについては、ADHDの原因としてざっくり言うと「脳の欠陥でドーパミンが出てないから落ち着かない説」があるそうで、現在治療薬として有名らしいです。
カプセルの薬なんですが、消化器官に入ってからロケットの推進剤のように少ーしずつ中身を出し、一日中ゆっくり効果を発揮するすごい薬。つまり朝にひとつ飲めば、寝る数時間前まで効果が続きます。中がそういうからくりになっているため、割って分けて飲むことができません。
副作用としては動悸、食欲減退など。これが僕の体にはこれがキョーレツです。
覚せい剤としての乱用例があるため厳重に流通が管理されている模様。こわ。

僕はこの薬を数日に一度、就活書類の更新やシャカフテ界隈に流している絵ェやこのブログを一日で終わらせたい時なんかに服用してます。本記事を1ヶ月ぶりに書き進めたときは薬の存在すら忘れていて丸一ヶ月以上飲んでなかったけど。(ここ郡山)

10分程度でなんというか、感覚が広がります。
電話にも気付かない、メモを取らない、取ったとしてその記憶もない、料理のように作業の平行した家事もできない。平行していなくても食材を焦がす、用事を忘れる。

480pモノラルみたいな人生。それが一時的に4K60fps5.1サラウンドになります。ホント。
今まで水面越しに外の世界を見ていたんじゃないかと思うくらい考える仕組みもスピードもぼわーンとしていたのが、陸に適応したような、そんな感じ(かといって泳げたり水で満足に暮らせる訳でもないんです)。
つまり、僕の発達障害の症状って普段はめちゃくちゃノロマなんですよね。効果中のすっきりした感覚は、ゲームや専門学校での課題編集作業に没頭していたときのフルパワーですら味わえないものでした。

このサラウンドな効果が出ている間は良くも悪くも感覚が鋭くなるため、よい気分で作業を行うにはうってつけではあります。
逆にSNSなんかで自分の悪口を見たり家族と喧嘩をしたり、ひとたび「俺どうしてこんなことしてるんだろう」と思い始めると、寝込んだときに見る悪夢みたいな感覚を起きながらに体験します。光景や幻聴が現れるわけではありません。
冷や汗が出て悪寒が走り、雪山で倒れる人のように体が勝手に「終わろうとする」んですよ。思い込みが非常に激しい僕の頭の仕組みがそのまま強くなる効果が出ているのかも。一度母と喧嘩した時は具合が悪くなってきてそのまま倒れてしまい、意識が覚めてから母に送ってもらい病院に行きました。大事には至らなかったものの校長の長話を聞いて倒れる時を思い出しました。
そんなわけでやる気になっていない憂鬱な週、日には飲まないようにしてます。これじゃ働けるようになっても仕事のある日に飲めないよ~~~ン。



Twitterで服用時にこういう話をしていたらフォロワーの「みる貝」君が
「ハザードトリガーみたいでかっこいい」と言っていましたが、逆なんです。
飲んでいないと常に危険なハザードフォームなんです。落ち着きがなくて物事の順番が理解らず、短気で感情的で短絡的なのを、薬の効果が出ている10時間程度だけ、問題のない人であるかのように振舞うことができる、ただそれだけです。
治療というより眼鏡と同じように矯正をするための道具だなと感じました。
体感したことのない意識のレベルで生活することになるので、効果が切れると疲れがどっと来ます。特殊だけど特別じゃないことってやっぱり生き辛いなとか思います。




薬についてはそんな感じです。
何度も言いますがリスクを持ち合わせているのは精神薬の常で、これらは普通に使う上で危険な薬ではありません。
ここ一ヶ月ほどは驚くほど回復してきているのでできれば薬にお世話にはなりたくないところ。抗うつ剤などと違い自分の意志で飲むか決めてもいい薬で非常に助かっています。
がんばるとはいいません。いちいち自分を削らずに済み、かつそのためにわざわざ他人を削ることのない生き方が早く見つかればいいなと模索するばかり。




─ 遷移(か)わりたいんだ、俺は。お前と類似(おな)じように。

─じゃあな。




参考にしたページ

GABAとは?http://www.gabastress.jp/aboutgaba

精神科医が解説】睡眠薬の効果・副作用・強さについて|元住吉こころみクリニックhttp://cocoromi-cl.jp/about/sleeping-drug

精神科医が解説】レンドルミンブロチゾラム)の効果と副作用|こころみクリニックhttp://cocoromi-cl.jp/about/brotizolam

精神科医が解説】ルネスタエスゾピクロン)の効果と副作用|こころみクリニックhttp://cocoromi-cl.jp/about/eszopiclone

【医師が解説】ADHD注意欠陥多動性障害)の症状・原因・診断・治療|こころみクリニックhttp://cocoromi-cl.jp/about/adhd

中枢神経刺激薬出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9E%A2%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%88%BA%E6%BF%80%E8%96%AC








予告





額縁の向こうの道化を嗤う。
石を投げ、弄ばんとするとき、それははかなく砕け散る。

突き刺さる醜い真実に、応えるのは真っ赤な痛み。

次回、『手帳』。
己を写す鏡で、心を血に染める。





次回 手帳