「日直」はブラック根性を刷り込むシステム

※当記事は、原則筆者の経験に基づく内容を掲載しておりますが、ほんのちょっとだけ盛っています。そのほうがおもしろいので。



就活中の無職です。就かねば無職であることに変わりなし。
タイトル通り、学校における日直というシステムについて語っていきます。


今日、企業に限らず部活動でも『ブラック』というワードが使われていますね。
その内容は「義務でないのをいいことに、やりがいと称して心身に過剰な負担をかける練習内容、ノルマ、活動時間」「スパルタ教育を超えてもはや体罰めいた待遇、アホくさい精神論、教師、上級生、活躍している部員によるいじめ」その他「行きたくない、逃げられない環境」などなど。運動部を問わず吹奏楽部など強豪校の文化部でも日常的に行われていますね。私の通った中高でも山ほどありました。インキャなので自分は部活でそんな目に遭いませんでしたし、運動部にコケにされていたのでざまあみろと思ってますが。


さてそんなブラックと呼ぶべき環境たちですが、働いておらずろくに部活動にも興じなかった社会不適合者諸君にもブラックな活動があったのではないでしょうか。


そのひとつがそう、日直です。


学校や担任次第で業務内容に多少の差異はあれど、基本的には

・朝30分くらい早く来て掃除など何かやらされる
・号令をかける
・移動教室時の先生の補佐
・黒板を消す
・学級日誌を書く


といった雑務が待っています。特にシャイボーイには号令がキツかった記憶があります。
私が「起立」といってもイマイチみんな聞いてくれなかったりするんです。金銀でワニノコ選んでナメられていたときを思い出してムカつきますねー?


当番制の役職以前に学校での規律ある集団行動云々がすでにもうガチで無理なのですがそれはさておき、集団行動において誰かが他のみんなより少し多く負担をして集団行動を回し、一人がずっとその負担を背負うのはかわいそうなので日替わりで行うというシステムはまぁ合理的なんじゃないかな~って思います。
特に「俺もやったんだからさ」という価値観が互いの精神的な負担を分散しているところもあるかなと。それはそれでいいです。我々には効果的なので。


さて、気に食わないのは「学校自体のスケジュールが日直のタイムスケジュールにイマイチ対応できていない」点です。


日直でない人は基本的に、休みすぎず学びすぎないくらいの余裕があるはずです。授業の合間に友達と喋ったり、やろうと思えば授業中に居眠りをしたり喋ったり、ケータイいじくったりできますよね。自己責任+先生次第なところもありますが。


調理実習のある家庭科や着替える必要のある体育などそういった余裕があまりない科目では移動と準備でいっぱいいっぱいになってしまうことも多々あります。たいていは友達とダベっているのが原因だったりしますけど。


ちなみに僕は高校時代めちゃくちゃ板書量が多く汚いせいで一年に3冊ほどノートを使いそうになる歴史の先生に二年間当たりましたが最悪でしたね、キリが悪いと授業が5分ほど延びるわ機嫌が悪いと筆圧が強いわ黒板消しが乱暴で前の席が粉でバフバフするわ。


中学では終了ぎりぎりの時間に小テストを始めたら次の体育の開始時間に食い込んでしまい、急いで着替えても遅刻してしまったのでそれを説明をしたくても昭和の体育教師は日本語でコミュニケーションができないのでとりあえず怒られ流れでグラウンド二周させられてきたり・・・そんな「ハズレ」もたくさんいました。しょうがないので諦めて二周せざるを得ない。


さて愚痴日直でない生徒の日常をさらっとおさらいしたところで、ここに日直の仕事をプラスしてみましょう。
なにひとつ盛ることなく控えめに言って、ナチュラルに理不尽さを味わう程度には忙しいと思います。



・朝30分くらい早く来て掃除など何かやらされる

 これは寝起きこそ堪えますが、日直の一日の始まりとしては当人の緊張感を煽るのでアリですね。どうせ文化祭やその他学校行事シーズンもいつもより早かったりするし。
朝誰も居ない廊下や教室の空気を吸ったり、日直相方の女の子や隣のクラスの日直と貴重なコミュニケーションを取ってみたり、学級日誌を取るため職員室に挨拶をして入ったり。約40日に一回しか来ない日なのでこのくらいはまぁあってもいいでしょう。

脱線しますけど、アニメFate/stay nightの1話、めっちゃ好きなんですよね。朝早く学校に行ったときの少し気だるく、それでも冬の冷たく澄んだ空気感をたまらなく上手に表現している回だなって思います。旧作とUBW両方でありますね。



・号令をかける

ただただ辛い。声の通らない人が号令をかけているのを見ると気の毒だと思います。僕が号令をかけると笑われます。



・移動教室時の先生の補佐


先生によりけりです。係の仕事だったりもしますが、早く行かないと準備が出来ないので自分のことは後回しにさせられるケースあり。
準備室から教室までブラウン管のテレビを運ばされたときは「しょうがない今日はハズレだ」と思わざるを得ません。



・黒板を消す

これ、大切ですがなかなかどうして忘れがちな地雷要素です。トイレにも行きたいし授業が終わり次第早く消したいところですが、生徒の板書スピードに個人差がありそれを責めるわけにはいかないので運やクラス編成が絡みます。先生が消して帰った場合は仕上げのみで済むので◎。忘れないようにしたかった。

「消してないってことは上から書いてもいいんだよな!?」と意味不明なことを言ったかと思いきや、本当に前の授業で書かれた字の上にチョークを走らせて掃除をする日直を脅す変な先生(ヤツ)が居たりします。唐突に始まるクレーム対応要素。最初は日直のミスによる問題ですが板書は読めないし、こうなっては一概に日直だけの責任とは言いがたくなにより意味不明な対処に日直は平謝りを要求されるのでサイアクですね。これ日本の教育現場でトップクラスにキモい案件だと思ってます。これをやる先生は普通に「キモい」だの「死ね」だの思われてるので覚えておいてください。



・学級日誌を書く

限りなく作業ですが、個人的に割と楽しみでもあります。普段発言力、影響力の無いインキャナードからすれば、上手くいけば「学級日誌の日記欄がやけに面白いヤツ」と密かな人気を博すことができます。だいたい学級日誌は罰ゲームなので、日直しか読まず書きません。中でも運動部や彼女持ちイケメンのカースト上位、ヤンキーはサボって相方にやらせるので、文化系上位などに多く認知してもらえます。読んでみるとオタクでもない文化系のヤツが隠れ高校デビューめいた真似をしていて面白いですし、毎回よく考えて書けば先生にも高く評価してもらえます。現在これを読んでいる学生なんてほぼいないと思いますけど、Twitter以上Facebook未満くらいの感性でかましてやりましょう。絵が上手くても萌え絵とか描くオタクはNG。お前そういうところがキモいんだよ。解れよ。




業務内容についてはざっとこんなところですね。いろんな意味で、過ぎさえすればいい思い出になりえますから一概にクソシステムとはいえないところが原状です。
PTAや大人たちも、日直を通して当番の重要性を知ってほしいのでしょう。あれでしか味わえない辛さと楽しさはあります。やりがいもまぁあったりなかったり。


ただ、過去になればなんでも許せるというわけではありませんよね。思い出話になってしまったのでもう一度日直のブラック要素について考えてみましょう。



「学校自体のスケジュールが日直のタイムスケジュールにイマイチ対応できていない」点
でしたね。


思い出してください皆さん。日直の仕事ってどんなときにありますか?


そう、授業中ではありません。授業の合間です。
この時間の名称は何ですか。


「休み時間」ですよね。
これ、ガチで日本のよくないところだと思ってます。「休憩時間は次の仕事の準備の時間だ」と教わり、慣れてしまって感覚が麻痺していますが、間違いなくクソッタレです。


学生のメインの仕事である勉学の休憩時間に「自分だけ」もうひとつの仕事をする。おかしいと思いませんか?それでもこれには「自分しかやっていない仕事なのに、みんなに合わせてもらうわけにはいかない」と不平不満を抱くことが悪であると思わせるからくりもあり、実際時間割の変更は教育要項の見直しにまで絡んでくる問題なので、変えることはとても難しいでしょう。

目上の人にこういった「なぜなに」を問うと、決まって同じ答えが返ってきます。


「社会に出たらもっと忙しいし理不尽だから」



と。これにはウンザリです。
今の世の中のことを考えれば間違ってはいません。二つ以上の仕事を平行してこなすため休憩時間を返上し、定時を過ぎても帰らず、休日も返上し、それが要求なら出来て当たり前。そのために我慢し応えてみせるのが大人の仕事らしいのです。子供である生徒たちにとって、日直の仕事はそのチュートリアルなのです。これで音を上げてたら世の中やっていけないよ、と。


しかし、その常識こそがそもそも大きく間違っているのです。これにはどうしようもなく怒りを覚えます。この尋常でない忙しさ、忙しくて当たり前、それをこなせる人材の教育。そればかりで誰が辛い、もうだめだといっても、全体に負担をかけぬよう誰も改善しようとしないのです。支える価値のない折れそうな現状を、どうしてか支えているのです。


もうやめにしませんか。そうやってみんなでやせ我慢を続けるのは。どこかで、どこかからこの環境づくりをとめなくては、いつまでもしつこい奴隷根性の抜けない国の、集団のままです。自分を大事にして無意味な苦難から解放されましょうよ。そのために日直のシステムをどうにかできないもんですかね。


僕は人の親になることはないでしょうけど、もしも自分の子供から、体育に遅れた理由も聞かれずにグラウンドを走らされたり、前の授業で書かれた字の上にチョークを走らせて、正しいことを言ってそうなのにやってることは多分間違っている先生の話を聞いて「そういう言葉の通じない人もいる。大人になったらもっと辛いから慣れておくんだ」と返す、耐えることだけは立派に出来るクソッタレな大人にはなりたくありませんね。こんなクソッタレな価値観、早くなくなればいいと思ってます。こんなの、続けてはいけませんよ。みんなおかしくなってるんです。